青い空に映える白い丹頂鶴、美しくて魅力的ですよね。北海道では比較的簡単に見ることができますよ。
北釧路湿原北西部では、11中旬~3月中旬、丹頂鶴の保護のために餌付けをしているので、多くのタンチョウが越冬のために集まっています。
給餌場所には餌をやっていない時にも鶴が残っていて、片足立ちで寝たり、毛づくろいをしたり、カップルで踊ったり。
この記事では、冬のタンチョウを観察・撮影するのにおすすめの時期と、おすすめの場所を4地点、ご紹介します。
タンチョウの観察・撮影におすすめの時期は11月中旬 ~ 3月上旬
雪が積もってしまうと、タンチョウの餌は雪や氷の下に埋もれてしまい、餌を探すのがとても困難。
こんな状況から保護するために、冬の間だけ給餌しています。ツルの自立を促すため、氷雪の期間限定です。
この地域にツルたちが集まっているのは、給餌期間の11月中旬から3月中旬まで。
3月に入ると雪どけが始まります。暖かい年だと3月上旬には雪がなくなり土が出てくるので、旅の計画は3月上旬までがおすすめ。
時期によってツルたちの生態・暮らしぶりも変わってきます。
11月のタンチョウ
収穫が終わる11月になると、タンチョウは徐々に給餌場に飛んでくるようになります。
ですが、この時期、見られる数はまだまだ少ないです。
家族単位で行動するので、オス、メス、この年生まれた子供1~2羽で飛来。
子供は大人よりちょっと小さいくらいのサイズ。グレーの羽が残っていて、タンチョウツルのシンボルの頭の赤い皮膚はまだできていません。「ピーピー」と、ニワトリのひよこのような声で鳴いています。
12月のタンチョウ
雪が積もって気温が下がってくると、タンチョウは自然の餌にありつけなくなるので、給餌場に集まってきます。12月中旬から下旬には、多い日で100羽以上
1月~2月のタンチョウ
給餌場に集まる最盛期。多い日では200羽を超えることも。
2月下旬くらいになると給餌場に集まる数は減ってきます。
カップルで鳴きあったり、羽を広げた美しい求愛ダンスが見られるのもこの時期。
季節が進むにつれ子離れの時期になり、親が踊りながら子供(若鳥)から離れたり、子供を突き放すようなしぐさが見られるようになります。
給餌場でも縄張りがあるようで、立つ位置もおおよそ決まっています。羽を広げて踊っているように見えても、実は喧嘩していて飛び蹴りをくらわしていることも。
夜になると、凍らない川(気温よりあったかい)に集まって、片足立ちで、頭を後ろに回して羽の中に入れて寝ます。
3月のタンチョウ
3月になっても残っているタンチョウも、よくダンスをしています。
ですが、カップル(つがい)は繁殖のため、釧路湿原各地に帰ってゆきます。
雪解けが進むにつれ給餌場に集まるタンチョウは減ります。ツルがいなかったり、いても子供(若鳥)ばかりになってしまいます。
タンチョウの観察・撮影に要注意!な時期
スケジュールを組むときに気を付けたいのが、「旧正月」。
休暇になった国の人たちが大挙として押し寄せます。
割り込みがひどい、その国の人同士でケンカしてました。
迷惑なので英語で注意すると英語が分からないふりをするけど、自分の意志は英語で話します。
タンチョウが居る『鶴居村』へのアクセス
タンチョウに給餌していて鶴が集まっているのは、鶴居村と阿寒町。
鶴居村まで車で移動する場合
- 札幌から高速道路経由で約4時間
- 釧路市内から約40分
JRとバスで移動する場合
- 幌駅~釧路駅 「特急おおぞら」で約4時間
- 釧路駅~鶴居村 阿寒バス(鶴居線・幌呂線)で約70分
飛行機で釧路空港に移動する場合
- たんちょう釧路空港からレンタカーまたはタクシーで約40分
阿寒バスが運行する定期観光バスを利用するのも効率的。
釧路湿原~鶴居村でタンチョウを観察できる撮影スポット4選!
タンチョウが集まっているのは、次の4地点
・鶴居村 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ (給餌場)
・鶴居村 鶴見台 (給餌場)
・鶴居村 音羽橋 (ねぐら)
・阿寒町 阿寒国際ツルセンター グルス
順にご紹介します。
鶴居村 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ (給餌場)
鶴居村の二大給餌場の一つ。
(故)伊藤良孝さんが給餌していた土地を日本野鳥の会が譲り受けて、タンチョウへの給餌を続けています。
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ 基本情報
住所 | 北海道阿寒郡鶴居村字中雪裡南 |
給餌時間 | 9:00 頃 と 14:00 頃 |
給餌期間 | 2023年11月16日 ~ 2024年3月12日 |
料金 | 無料 |
トイレ | あり |
駐車場 | あり |
公式サイト | 鶴居村観光協会 |
ネイチャーセンター
給餌場を観察できるネイチャーセンターも併設されています。暖房のきいた室内でレンジャーから説明を受けながら、タンチョウを双眼鏡で観察できます。
開館期間 | 10月1日 ~ 3月30日 |
開館日 | 毎週金曜日 ~ 月曜日 祝日 年末年始(12月26日~1月1日)は休館 |
公式サイト | 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ |
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリへのアクセス
JR釧路駅または釧路空港から車で約50分
JR釧路駅から阿寒バス鶴居線で約1時間。バス停「鶴居村役場前」下車、約1キロメートル、徒歩約15分。
鶴居村 鶴見台 (給餌場)
バス停の前にある給餌場。道路の向かいにはカフェ兼お土産屋さんもあるので、車を運転できない人でも楽しめる場所です。
鶴見台 基本情報
住所 | 北海道阿寒郡鶴居村下雪裡 |
給餌時間 | 9:00 と 13:00 ~ 14:00 頃 (変動あり) |
給餌期間 | 11月中旬 ~ 3月中旬 |
料金 | 無料 |
トイレ | あり |
駐車場 | あり |
公式サイト | 鶴居村観光協会 |
鶴見台へのアクセス
JR釧路駅または釧路空港から車で約30分
JR釧路駅から阿寒バス鶴居線で約50分。バス停「鶴見台下車」
鶴居村 音羽橋 (ねぐら)
雪裡川は冬でも凍らないため、タンチョウがねぐらとして利用しています。
雪裡川にかかる音羽橋には、ツルを見るため専用の部分があって、ねぐらのツルを観察できます。
遠いので、300mm以上の望遠レンズや、双眼鏡が必須。
冷え込んだ朝、夜が明けるにつれ、川からのもやが朝日に照らされてオレンジ色になり、その向こうに見えるツルのシルエットは幻想的です。
宿で日の出時間を聞いて、その頃に行くのがおすすめですが、カメラマンの場所取りにびっくりすることでしょう。
音羽橋 基本情報
住所 | 鶴居村雪裡原野北7線東 |
料金 | 無料 |
トイレ | 仮説の簡易トイレあり |
駐車場 | あり |
公式サイト | 鶴居村観光協会 |
音羽橋へのアクセス
JR釧路駅または釧路空港から車で約30分
阿寒町 阿寒国際ツルセンター グルス
タンチョウに関する展示と、保護したタンチョウを飼育する施設に併設して、給餌場があります。
給餌場の前には「分館 タンチョウ観察センター」があり、暖房のきいた建物の中から、無料の双眼鏡でツルを観察したり、レストランで食事をしながらタンチョウを眺めることもできます。
3月にタンチョウがいなくなる時期が、鶴居村よりも早い傾向があります。
3月に野生のツルを見たい場合は、事前に確認するのをおすすめします。
「グルス」は、ラテン語で「鶴」。鶴科の学名でもあります。
阿寒国際ツルセンター グルス 基本情報
住所 | 北海道釧路市阿寒町上阿寒23線40番地 |
営業時間 | 9:00 ~ 17:00 |
営業日 | 年中無休 |
料金 | 大人480円 子供250円 |
トイレ | あり |
駐車場 | あり |
公式サイト | 阿寒国際ツルセンター グルス |
阿寒国際ツルセンター グルスへのアクセス
釧路空港から車で20分
釧路駅から阿寒バスで60分。バス停「丹頂の里」下車
給餌場でタンチョウを観察する際のアドバイス
給餌場でまいているエサは、「デントコーン」と呼ばれる家畜飼料用のトウモロコシ。
餌をまくと、タンチョウが集まってきそうなイメージがありますが、ツルは鳩とは違って集まってきません。
餌やりの人をぐるっと遠巻きにして、後ろから餌を食べに行きます。みんな同じ方向を向いています。
この様子がおもしろいので、ぜひ観察してみてください。
給餌場は、タンチョウにとって餌を食べるだけの場所ではなく、1日を過ごす場所になっています。
なので、給餌の時間帯でなくても、タンチョウを観察・撮影できます。
ピークシーズンは、早朝と夕方を除いた一日中ツルを見ることができますので、給餌時間がスケジュールと合わなくても、ツルには出会えますよ。
タンチョウってどんな鳥?
鶴の仲間のタンチョウ、概要を表にまとめました。
餌 | 春~秋:魚介類、カエル、昆虫、植物の芽や実 冬:給餌場のデントコーン、川魚 |
体長 | 110~150cm(嘴の先から尾の先) |
背の高さ | 約140cm |
翼を広げた長さ | 220~240cm |
体重 | 6~11kg |
繁殖地(日本) | 北海道東部の湿原や草原 |
越冬地(日本) | 釧路湿原周辺 |
英名 | Red-Crowned Crane Japanese Crane |
学名 | Grus japonensis |
タンチョウは、「丹頂」頭のてっぺんが赤いことから名づけられました。
体は全体が白色、首と翼の先が黒色、頭頂部が赤色です。
立っている姿からはしっぽが黒いように見えますが、つばさの黒い部分がしっぽの上に重なっているだけです。
頭頂部は羽が生えてなくむき出しの皮膚なので赤色。興奮すると赤色の部分が広がります。
夏には、この部分を蚊に刺されてかゆがっているそうですよ。
ペアでは、やや雄の方が大きいようですが、見た目だけで雄雌を区別するのは難しいようです。
タンチョウの観察・撮影まとめ
丹頂鶴の観察・撮影におすすめの時期は11月中旬 ~ 3月上旬。
給餌場に集まるピークシーズンは、1月~2月下旬。多いときは200羽以上が見られます。カップルが羽を広げてダンスする恋の季節ももこの時期。
観察、撮影におおすすめなのは、次の4か所。
- 鶴居村 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ (給餌場)
- 鶴居村 鶴見台 (給餌場)
- 鶴居村 音羽橋 (ねぐら)
- 阿寒町 阿寒国際ツルセンター グルス
レンタカーなど、車で移動する場合は、4か所回ることができますが、公共交通機関利用の場合は、バス停からすぐなので、鶴見台が便利です。
青い空に映える白い鶴。ぜひとも観察・撮影してみてください。